三重 津 松阪 鈴鹿 臨床心理士のカウンセリング、トラウマ焦点化療法 『カウンセリングオフィスはじまり』

(強度)行動障害とトラウマインフォームドケア 保護者への影響について(読了まで5分程度)

前回の続きをすぐに書こうと思っていましたが、思いのほか時間がかかってしまいました💦

前回、強度行動障害の方の行動問題に、トラウマの影響があるかもしれない・・・というお話をしました。

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※本来は前回のブログに書くべきでしたが、周囲にとっては些細な変化と思うことが、神経多様性のある方にとっては大きな変化やストレスと感じられることがあり、それによって気持ちや行動に大きな影響を及ぼす可能性があると言われています。したがって、「トラウマとなりうる刺激」も個別性があります。

 今回は主に行動障害のある方の対応している方が受ける影響をトラウマインフォームドケアの視点で見ると、について書きたいと思います。行動問題のある方は「子ども」、対応する側は「保護者」としてお話しますが、異なる間柄でも類似のことは起こると思います。

まず、行動障害のある方の子育ては時間無制限、しかもプライベートで対応する保護者の方の大変さ、つらさを支援者は忘れてはならないと思います。

① 子どもの行動による保護者の「傷つき」

 子どもの行動がときとして、子ども自身の安全、家族の安全を脅かすことがあります。

そしてそれが繰り返し起こったり衝撃的であったりすると、「トラウマ」として残ることがあります。

 たとえば、「理解不能な大きな声」がきっかけとなり、子どもが自分を傷つけたり、道路に飛び出してしまうことがあるとします。

それが繰り返されたり、命を脅かされるようなことがあると、保護者は「大きな声」や「大きな音」がするだけで「危険」と認識するようになります。すると、その時に経験した、緊張感、不安、怒り、焦燥感等がぶり返します。

(トラウマ反応は、危険な状況で身を守るために働く警戒反応の名残ともいわれます)

「子どもが大きな声を聞いた時」のことが影響していると気が付いていることもありますが、厄介なことに、「現在の刺激」で起きたことが「過去の影響を受けている」ということに気が付かないこともありますし、その警戒状態が常に続いてしまい、不安感が付きまとったり、寝られなかったり、動悸が止まらないなどの状態になる可能性もあります。

② 支援者の言動による保護者の「傷つき」

悲しいことですが、支援者(福祉・医療・教育関係者、あるいは家族など)から、心ないことを言われたり、対応をされたことがトラウマとなってしまう方もいらっしゃいます。

今の支援者にとっては「私ではない誰か」の言動ですが、それが10年も20年も前のことであっても、傷つきが深い保護者にとっては、傷つけた「支援者」と今の「支援者」は、警戒せざるを得ない同じ『支援者』となっているかもしれないのです。

 保護者が支援者に対して拒否的、消極的だったり、距離を置こうとしている様子がある場合、「過去に保護者と支援者、支援機関と何かがあったかもしれない」と考えることも大切だと考えています。

もしそんな状況であっても、保護者は支援者に未来を託していくしかない、という状況なのです。

③ 保護者自身の「幼少期の傷つき」

さらに、保護者自身に「子供時代の辛い体験」があるとしたら…

例えば、保護者とその親との関係が否定的だったり、暴力や暴言を受けているようなことがあると、自身の子育ての場面でその影響が表れることがあります。

保護者自身が「子どものためにしようとしている」ことと、保護者自身が「してもらえなかったこと」が重なり、苦しい思いをされるかもしれません。

 自身が与えられなかったエネルギーを、自分の子どもに注ぎ続けることの大変さは、想像以上のものがあると感じています。

また、支援者の「お母さんが一番よく分かっているから、お母さんのやりたいようにするといいよ」などの言葉は、保護者の選択や主体性を尊重しているとも取れますが、保護者と支援者との関係性よっては、保護者の孤立無援感を強めることもあります。保護者が子どもの頃に「誰にも助けてもらえなかった」という強い気持ちを抱えていたとしたら、「今」の孤立無援感を強めてしまうかもしれません。

このように、

① 子どもの行動による「保護者」の傷つき

② 支援者の言動による「保護者」の傷つき

 ③ 保護者自身の「幼少期」の傷つき

この3つの傷つきの影響が1つもしくは複数がからみあって、保護者の今の「つらさ」につながっていることがあります。

しかし、日々のぎりぎりの生活の中では、そのつらさを押し殺すしかないこともあり、「なぜ」まで気づきにくい場合も多いと思います。

この3つの前提をもった支援ートラウマインフォームドケアのまなざしがある支援ーと、そうでない支援では、同じリソース・同じ方法論を使っても、まったく違うプロセスが生まれると感じています。

今この瞬間、精一杯お子さんを支えておられる保護者の方々、あるいは制度や社会の支えが不足している中で奮闘されている方々に敬意を込めて、このブログを書きました。人それぞれが違うことも含めて配慮したつもりではいますが、至らぬところがありましたら、ご容赦ください。

※ 本文中では「トラウマ」という言葉を医学的に診断されるようなトラウマだけでなく、心が深く傷つき、それが今に影響を与える体験も含めて捉えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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