解離性同一性障害(多重人格)の啓発のための映画『Teamその子 』上映会に行ってきました(読了まで4分程度)
本日は、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)の啓発のための映画、『Teamその子 』の上映会に参加してきました。
映画は45分と短かったのですが、解離性同一性障害の方の苦しみが描かれていたものでした。後半は、心理療法のエッセンスが映像として表現されていました。
通常の映画やドラマではどうしても、どうしても派手に描かれてしまうのですが、その背景に「トラウマ」があるもの、そして、それぞれの人格が「生き延びるために必要があって生まれた」ことが描かれていました。
解離は「障害」や「病気」という印象が強いのですが、解離は誰にでも、今でも起こります。例えば、話に集中しているときに、足の裏の間隔を感じている人は少ないでしょう。高速道路で走っている最中に、流れる景色の全てを認識している人はいないでしょう。私たちは必要ではない情報を「切り離す」ことで限りある能力を必要なことに注げるようにしています。(これが苦手な方もいらっしゃいます)
それが、あまりにも過剰なストレスを受けた場合は、その情報や感情を「切り離す」ことでサバイバルします。つまり、私たちが私たちを守るために解離をするのです。そして、その「切り離した」情報や感情が、何かのきっかけで突然、まるで今起こっているかのように戻ってくること、それが「フラッシュバック」です。
感情だけが解離して、とある場面で急に怒りや悲しみを強く感じてしまうこともあります。
その解離の程度が強くなると、人格の解離となります。
ただ、トラウマの大きさ≠解離の程度ではありません。
その方の置かれた状況、文化、発達障害の程度などで異なると言われています。
この、解離は生き延びるため、生存のための方略であることが描かれていることがとても良かったです。
また、後半は、色々な人格が、集まって話をすることが描かれていました。映画ではリーフレットにある写真にあるように、カウンセリングルームや自宅の部屋で行われていたのですが、
実際のカウンセリングでは(色々な方法があるとは思いますが)心の中の「会議室」「部屋」などすることが多いでしょうか。一見すると別方向に向かっている人格も、「その困難さ」を生き延びるために必要だったもの・・同じ方向に向かうように話し合いをしていきます。その中で、トラウマ処理をするかしないか、記憶を持ち合わせるかどうか、心理療法の方向性も、それぞれの生き方を尊重しつつ決めていきます。
最初はセラピスト(カウンセラー)が話し合いの間に入ることが多いですが、終盤になると、役割分担などがはっきりして、映画的に言えば「チーム」になっていき、現実の問題に対処していきます。そして、自らの人生を自らの足で歩んでいく以上に、様々な困難や選択を「自分の中の会議」で乗り越えていくきます。
映画では10分くらい?で終わってしまうこの場面、実際には、何回も何回も面接を重ねることが多く、クライアントさん内側の世界を表現した映像の中に入り込むように見ていました。
映画『teamその子』はフィクションとのこと。映画としての演出があります。人格の現れ方もそれぞれです。ただ、そこで表現されていた辛さも回復も現実にあることです。
「トラウマは話させるだけ話せばいい」「他の人格なんて無視したら消えていく」そんな誤りもまだまだあります。いまだ「いつまで過去のこと言っているの」なんてことも・・・残念です。
終了後、カウンセラー役で当事者でもある中島幸子さんと少しお話をしました。東京でも、上記の様な心理療法ができるセラピストをほとんど知らないと聞いて驚きました。昔からの研修仲間は確実にしているはずなので、まだまだ絶対数が足りてないのかなと思いました。
『Teamその子』の上映情報は下記にありますのでご参照ください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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