三重 津 松阪 鈴鹿 臨床心理士のカウンセリング、トラウマ焦点化療法 『カウンセリングオフィスはじまり』

感情のフラッシュバック~驚くほど強い感情はこの影響かもしれません~(読了まで2分程度)

「ついさっきまで普通だったのに、どうしてこんなにイライラするんだろう?」 「今の出来事とは釣り合わないくらい、すごく恐ろしい感じがする…」

もしそう感じたことがあるなら、それは「感情のフラッシュバック」かもしれません。

感情のフラッシュバックは、過去のトラウマ的な状況で感じた恐怖、悲しみ、絶望、恥といった感情が突然よみがえる現象です。きっかけがある場合もあれば、無い場合もあります。微妙なものからとても強いものまで、瞬間的なものから数週間にわたるものまであるといわれています。

感情のフラッシュバックという言葉を最初に提唱したのは、アメリカの心理士のピート・ウォーカーです。

フラッシュバックと気が付きにくいのは?

感情のフラッシュバックが厄介なのは、「今の感情」と区別がつきにくいことです。

たとえば、職場で少し注意を受けただけなのに、異常なほどの強い恐怖を感じたとします。

でも、映像のフラッシュバックが無いと、それが過去のトラウマ(たとえば幼少期のいじめや10年以上のパワハラなど)の影響だと気づけません。そのため、「この人との関係がうまくいかないのかな」「自分はなんてダメな人間なんだろう」という考えになってしまうこともあると思います。

感情のフラッシュバックは、複雑性のトラウマ・・・単発的な出来事ではなく、幼少期に繰り返し、長期間にわたって受けた虐待やネグレクトなど、慢性的なトラウマ体験によって引き起こされやすいと言われています。

そして、映像を伴わないフラッシュバックは他にもあります

精神科医の杉山登志郎先生もフラッシュバックを「感情的フラッシュバック」の他に、映像的、思考的、行動的、身体的(生理的)、精神症状的等と分類されています。(かなり前の書籍か論文だったと思うのですが、見つかりませんでした・・・)

精神科医の新谷宏伸先生もフラッシュバックの例として、感情、聴覚的、行動、身体をあげておられます。(https://www.seiwa-pb.co.jp/htmlmail/209.html#column)

身体症状的なフラッシュバックは、身体が過去のトラウマ体験の「記憶」を保存しており、それがフラッシュバックすると、心臓の動悸、息苦しさ、吐き気、腹痛、身体的な痛みを感じます。

思考(認知)的フラッシュバックは、その当時の「自分が悪い」「自分が間違っている」などの考えが侵入してくることを言います。

感情のフラッシュバックと同様、記憶や感情の再体験がない場合でもその当時の映像などが無いと、フラッシュバックとは分からないかと思います。

では、どう気がつき、対応したらいいの?

正直、なかなか気が付きにくいとは思いますが、

・突然、理由もなくパニックになる、泣きたくなる

・強い不安や羞恥心、絶望感に襲われる

・「自分はダメだ」という強い自己否定感がこみ上げる

・心臓がドキドキする、呼吸が浅くなるなどの身体症状が出る

これらの感情や身体感覚が、現在の状況とは釣り合わないほど強烈だと感じたら、フラッシュバックかもしれません。

その対処方法ですが、(こころとからだがタイムスリップしたように「過去」に戻ってしまっているため、「今」を感じることが大切です。(反応が大きければ大きいほど、自身での対処は難しいというのは痛いほどわかっているつもりです)

・「これは過去の記憶が悪さをしている」「今は脅かされてない」と自身に言い聞かせる。

・身体を触れてみる、足の裏を意識する、手を握って開くを繰り返す、周りを見回す、ぬいぐるみを抱きしめてみる、水を飲む、顔を洗うなどが良いかもしれません。

もし、誰かが周りにいる場合、クッションなどの安全で柔らかいものを優しくキャッチボールする、「あっちむいてほい」をするなども有効なことがあります。さらに、あらかじめ「今ここ」に戻るための方法を話し合っておくとより良いと思います。

※今日のブログで取り上げた状態は、トラウマやフラッシュバックではない別の要因(例えば、身体的な病気や、他の精神的な疾患など)が原因である可能性もあります。医療機関(心療内科、精神科、内科等)を受診をし、別の要因ではないことの確認は必要です。そして可能であれば対応ができる支援者の適切なサポートを得られることを願っております。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(参考文献 ピートウォーカ著 牧野有可里 池田良子 訳 複雑性PTSD 星和書店 2023)

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