三重 津 松阪 鈴鹿 臨床心理士のカウンセリング、トラウマ焦点化療法 『カウンセリングオフィスはじまり』

そんなに苦痛なく、電車に乗れました〜トラウマとバウンダリー(心理的境界線)・・・人との距離感が少しずつ楽になるまで〜

トラウマは人との距離感にも影響する

トラウマを扱うセラピー(トラウマ焦点化療法)を進めていくと、

「電車(バス)に乗れるようになりました」

「思ったほど辛くなかったです」

「前より人込みが楽になってきました」

といった報告を受けることがあります。

日常のほんの一場面の出来事にみえるかもしれませんが、長い間トラウマを抱えてきた方にとっては、大きな回復の証でもあります。

トラウマの影響は、ときに想像以上に広範囲に及びます。

例えば

・人との距離感がつかめない。

・人が多い場所に行けない。

・人の感情に圧倒されてしまう。

というものがあります。

その背景には、「バウンダリー(心理的な境界線)」の問題が関係していることがあります。

本来、人は「自分」と「他者」の間に心理的な境界線を持っています。それは、自分の感情や考えと相手のものを区別し、適切な距離感を保つために欠かせないものです。

バウンダリーは、幼少期に自分の存在や気持ち、考えを尊重してもらう経験の中で育まれると言われています。

しかし、過酷な環境で育つことで心理的な境界線がうまく築かれなかったり、学校でのいじめにあってこの境界線が踏みにじられるような経験が繰り返された場合、「自分がどこまでで、他人がどこからか」という感覚が曖昧になりやすくなります。

自分の考えや感じ方が良くないものに思えたり、他者の考えや意見が絶対的に感じてしまったり・・・そうなると、外の世界はあまりにも刺激が強く、圧倒的で、怖いものとして感じられるようになり、通勤電車のような、人との距離が近い空間はとてもつらい場所になり得るのです。

バウンダリー(心理的な境界線)の再構築

セラピーの中で過去の経験と丁寧に向き合い、「踏み越えられた経験」が本当の意味で過去のものになっていくと、少しずつ変化が起こります。

「自分」と「他者」を改めて区別できるようになることで、世界の見え方が変わってきます。

刺激に過敏に反応していた身体も落ち着きを取り戻し、

「ここまでが私」

「それは相手のもの」

という感覚を持てるようになっていきます。

それは、バウンダリーの再構築です。

人生の中で一度壊れてしまった、あるいは十分に築かれなかったバウンダリーを、改めて築き直していくプロセスとも言えるでしょう。

より自然な回復のプロセス

私たちが日常と呼んでいるものは、実はとても繊細な心の土台の上に成り立っているのかもしれません。

その土台が整っていくことで、「できること」が少しずつ増えていきます。

トラウマを扱うセラピーは、土台を整えた上で小さな一歩一歩を支え、積み重ねていく過程でもあります。

「人と人との間に境界線があるなんて知らなかったから、電車なんて乗れるわけないですよね」

知識として知るだけではなく、体感として理解できたとき、人は初めてその変化を自分のものとして受け取ることができます。

時には意識的にチャレンジをすることもありますが、ふと気づくと、以前はできなかったことができるようになっていたり、気にしていたことが気にならなくなったり。それが、あまりにも自然なため、自分の感じ方の変化に後で気が付くことも多いです。

そんな自然な回復のプロセスも、トラウマを扱うセラピーの魅力のひとつだと感じています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次